【初心者向け経済解説】そもそも「関税」って何?ニュースがよくわかる基礎知識まとめ

経済学
経済学

はじめに

※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

最近の経済ニュースで、「追加関税」「関税引き上げ」「報復関税」などの言葉を耳にすることが増えていませんか?

実はこの「関税」、経済だけでなく政治や外交にも大きく関わる、非常に重要なキーワードです。

この記事では、「そもそも関税とは何か?」という基礎から、「なぜ関税をかけるのか」「誰が得して誰が損するのか」など、ニュースの理解に役立つポイントを初心者向けにわかりやすく解説します。

僕は一橋大学大学院の経済学研究科で行動経済学について研究していました。経済学の面白さ、社会での有用性を広げるため、当ブログを開設しました。
このブログ(Economix)では経済学と大好きなガジェットを中心に情報発信しています。

関税についての書籍はいくつか出ています。以下参考にいくつか掲載しています。

関税とは?まずはざっくり理解しよう

関税とは、外国から商品を輸入するときにかかる税金のことです。たとえば日本がアメリカからワインを輸入するときに、日本政府がその商品に一定の税率を課す——これが関税です。

関税がかかると、輸入品の価格はその分だけ高くなるので、結果的に国内製品のほうが有利になります。

関税をかける目的って?

関税にはいくつかの明確な目的があります。以下の3つが代表的です。

国内産業を守る(保護主義)

安価な外国製品が大量に入ってくると、国内のメーカーが価格競争に勝てずに倒産する恐れがあります。

関税によって輸入品の価格を引き上げることで、国内産業を守ることができます

税収を得る

関税は国の重要な財源のひとつでもあります。特に発展途上国では、関税による税収が国家予算の大部分を占めるケースも少なくありません。

外交・政治のツールに使う

近年増えているのがこの目的です。たとえば「不当な行為をやめないと関税をかけるぞ」といった形で、他国への圧力として使われるケースです。

関税の種類|ひとくちに関税といっても…

関税にはいくつかのパターンがあります。代表的なものは以下の通りです。

種類 内容

従価税 :商品の価格に対して一定の割合で課税(例:10%)

従量税 :商品の数量や重さに応じて課税(例:1kgあたり100円)

混合税 :上記2つを組み合わせて課税

特別関税 :不正な貿易(ダンピングなど)に対する制裁的な関税

報復関税 :他国の関税措置に対抗して課される関税

ニュースでよく出てくるのは「特別関税」「報復関税」など、外交的な意味をもつ関税です。

特別関税とは?

特別関税は、不公平な貿易行為への対抗措置として課される関税です。特に問題視されるのが「ダンピング」と呼ばれる行為です。

ダンピングとは?

ある国の企業が、他国で自国での販売価格よりも著しく安い価格で商品を販売することを指します。これにより、現地の企業が価格競争に敗れて経営が立ち行かなくなるおそれがあります。

このような場合、WTO(世界貿易機関)のルールに基づき、その国の政府は「アンチダンピング関税」という形で、追加的な関税(=特別関税)をかけることができるのです。

つまり、特別関税は貿易の公平性を守るための防御手段として使われるもので、過剰な競争や不正行為から国内企業を守る目的があります。

報復関税とは?

報復関税は、名前のとおり他国の関税措置に対して“仕返し”として行う関税です。

たとえば、ある国が一方的に高い関税を課した場合、それに対抗して別の国が「こちらもあなたの国の製品に関税をかける」と応じるのが報復関税です。

これは、経済的な圧力をかける手段として用いられることが多く、近年では米中貿易摩擦の中で何度も見られました。

ただし、報復関税は関係国の経済にとって「双方が損をする“チキンレース”」になるリスクもあります。企業活動が萎縮し、消費者も高い価格を負担することになるため、本来は慎重に使うべき手段とされています。

WTOと関税のルール|自由貿易の秩序を守る仕組み

関税は自由に設定できるわけではなく、世界貿易機関(WTO)が各国にルールを設けています。

たとえば:

最恵国待遇(ある国に対する優遇は、他の国にも適用しなければならない)

関税の透明性(関税率を公表する)

段階的な関税引き下げの努力

しかし、実際には各国がWTOのルールを無視して関税を発動するケースも増えており、国際的な緊張の火種にもなっています。

関税のメリットとデメリット|誰が得をして、誰が損をする?

では、関税をかけることによって誰が得をして誰が損をするのでしょうか。関税のメリット、デメリットを簡単にまとめてみましょう。

視点メリットデメリット
消費者なし輸入品が高くなる(=物価上昇)
国内企業外国製品との競争が和らぎ、売上が守られる競争が少なくなり、技術革新や価格競争が鈍る恐れ
政府税収が増える、外交手段として使える報復関税によって輸出産業が被害を受ける可能性

今後、関税がますます重要になる理由

近年では、国際情勢が不安定になる中で、関税は単なる「税金」ではなく、経済安全保障や政治的メッセージの手段としても使われています。

• 米中関係の悪化

• ロシアと西側諸国の対立

• 環境・人権問題に関する経済制裁

こうしたテーマと関税は密接につながっており、今後も注目が集まり続けるでしょう。

まとめ|関税を知ればニュースの裏側が見えてくる

一見すると難しそうな「関税」ですが、基本を押さえておけば、経済ニュースの見え方が大きく変わります

• 関税は「商品にかかる税金」

• 目的は「産業保護」「税収」「外交カード」

• メリット・デメリットは表裏一体

今後、「○○に追加関税」などのニュースを見かけたら、ぜひこの記事の内容を思い出してみてくださいね!

関税についての書籍はいくつか出ています。以下参考にいくつか掲載しています。

スポンサーリンク
シェアする
Shawnをフォローする
タイトルとURLをコピーしました